【揺らぐ沖縄】官房長官言及 移設問題、政府再び迷走(産経新聞)

 ■「法律的にやれる場合もある」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題をめぐり、鳩山政権が再び迷走を始めている。

 日米合意で移設先となった米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を抱える名護市の市長選で、受け入れ反対派の稲嶺進氏が当選後、平野博文官房長官が地元の合意なしに移設先を決める可能性に言及しはじめたためだ。

 平野氏は26日午後の記者会見で、「(地元との)合意がなかったら物事が進まないということか。(合意が)いるケースとかいらないケースいろいろある。法律的にやれる場合もある」と語った。平野氏は稲嶺氏が当選した翌日の25日の会見でも、「(選挙結果を)斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」と発言した。

 この発言に民主党の喜納昌吉(きな・しょうきち)参院議員ら沖縄県選出の与党議員がかみついた。26日昼に集まった喜納氏らからは、「基地を背負っている人たちに対する発言としては異常だ」などと平野批判が噴出した。社民党の照屋寛徳衆院議員は26日夜、「けしからんどころかぶん殴りたい」とまでエスカレートした。

 「(報道に)真意ではないところが書かれている。地元の皆さんの理解を求めながら決断していく」

 平野氏は26日午後の記者会見で、こう釈明に追われる一方で、「唯一実現可能性がある」(防衛省幹部)といえる現行計画の選択肢を排除することはしなかった。代替施設建設に必要な公有水面埋め立ての許可権限は県知事にあり、稲嶺氏が反対しても、法律上建設することは可能なためだ。

 だが、現行計画を容認してきた仲井真弘多知事はすでに計画実現は困難との考えを示している。政府内からも「市長選で死亡宣告を受けたような現行計画をよみがえさせようとしているのか」(外務省筋)と、冷ややかな声も出ている。

 昨年9月の政権発足後、普天間問題に関しては、鳩山由紀夫首相の迷走ぶりに加えて、閣僚の言動も混乱に拍車をかけている。岡田克也外相は普天間飛行場と米軍嘉手納基地との「統合案」を主張し、地元の反発を招いた。北沢俊美防衛相は現行案での早期決着を模索したが、今年への結論見送りを容認した。

 平野氏は選挙後になってようやく「国としての決意」を示したといえるが、鳩山首相は26日夜、記者団に「名護市民、沖縄県民の理解も求めて最終的な結論を出すべき。強引なやり方ではなく」と、地元の反対を押し切ってまで現行計画を推進することに及び腰の姿勢を示した。

 政府高官も26日夜、成田空港建設をめぐる反対運動を挙げ、「(現行計画で)強行すれば、成田闘争のようになってしまう。それは不幸な話でできない」と述べた。

 首相らの足元を見透かすように、与党内からは5月末の決着先送りを図る声も出ている。25日に開かれた与党党首級の基本政策閣僚委員会で、福島瑞穂消費者・少子化担当相は「5月までに案を出す、としたらどうか」とまで主張した。

 政府・与党は「沖縄基地問題検討委員会」で移設先の検討を進めているが、いまだ日米合意の検証作業の域を出ていない。米海兵隊が普天間飛行場に居続けるシナリオも現実味を帯びてきている。

 首相らが何度も口にする「ゼロベース」とは、過去にとらわれず、ゼロから問題を分析し、解決策を探るという意味だ。しかし、首相らが沖縄の過去に対する十分な理解もないまま軽率な発言を繰り返したことで、このままでは「ゼロ回答」になる危険性をはらんでいる。(大谷次郎、赤地真志帆)

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